『ヴィンセント・イン・ブリクストン』大千穐楽おめでとうございます㊗️
まさかどくんのおかげで素敵な舞台に出会えた喜びを記録しておこうと思い、相変わらず滅茶苦茶な文章(文体)ですが書き綴ります。
- 2年連続の主演
『染、色』に続き、2年連続でグローブ座で主演を務める正門くん、座長を背負う正門くん、舞台の上でヴィンセントを生きる正門くん、自分が目にする光景全てが誇らしかった。
『染、色』は開演前に水の音や鳥のさえずりが聞こえてきて 夏だからグローブ座内の空気もひんやりしていて ものすごく緊張していたけど、『ヴィンセント・イン・ブリクストン』では会場内に足を踏み入れた途端にオシャレな音楽が聴こえてきてびっくりした。ディズニーで流れているような心地よい音楽を聴いていたら、きっとそこまで構えなくても大丈夫かもしれない、ヴィンセントの人生のほんの一部を私も共に生きようと思った。
- お話について
ゴッホが画家になる前の若き日のお話。様々な人と出会い、刺激され、ヴィンセント自身が変化していく様子がこのお話を動かしていると感じた。
誰を中心にしてお話を見るか どこに重点を置くかで感じ方が色々ありそうだけど、やはり1番大きなテーマは “愛” だった。
何か特別大きな出来事や事件が起きるわけでもなく、ヴィンセントの日常やそれぞれのやりとりが丁寧に描かれていたな〜という印象。
1幕ではアーシュラに下宿させてほしいと頼み込む場面や、アーシュラとキッチンで共にお料理を作る場面がまさに日常の風景だった。ヴィンセントの日常を目の当たりにしたし、1幕から早速「生きてる…!」と実感した。
ここで登場したお料理の香りを感じられたのもこの「生きてる…!」の実感を助長してるのかなと… お料理だけじゃなくてパイプタバコの香りもマッチを消した時の香りも、嗅覚からの情報も強くてまさに五感でヴィンセントを感じられた。
何よりもこの1幕はとにかく “明るい” 。照明の当たり方も全体が照らされていて日常風景としてのキッチンの明るさを感じたし、声を荒らげたりすることはあっても会話の内容も(後半に比べたら)振り返れば明るかったな〜と思う。
ヴィンセントはユージェニーに恋していて、彼女の一挙一動に動揺して顔いっぱいに表情が出たり、サムとの雰囲気に嫉妬したり、とにかく表情豊かなヴィンセントがなんだか愛おしく感じた。純粋無垢な男の子のようで…かわいいという表現が正しいかは分からないけど恋するってそういうことだよね…とか勝手に色々考えたり(笑)
サムと言い合い(喧嘩?)になる場面では、2人の熱量に圧倒されてしまったけど、
サム「美は近くにあるのにそれを見い出せないでいる。労働者の手、履き古した靴…」
ヴィンセント「美しいものを描くから人は絵を買う。」(両方ともニュアンス)
と言っていた気がする。これがラストシーンに繋がることを2回目の観劇で理解した。サムとヴィンセントの “芸術” や “美” 、そして労働者階級の捉え方も第三者目線で苦しくなるほどに異なってい気がする。
そしてアーシュラのほんの些細な変化に気づくヴィンセント。手を見て結婚指輪をしていないことにすぐ気づくのは普段からきっと彼女の手を見ていたんだろうな。
「あなたを愛しています。あなたの不幸を愛しています。僕の不幸を映し出す鏡のようだ。」
アーシュラのお洋服のボタンに手をかけながら
「あなたを見せてください」
と放つヴィンセントもアーシュラもなんだかとても美しかった。ここで暗転。余韻の残し方も全てを描写しないのも2人の気持ちが通じ合ったのも美しくて。「僕たちは似ている」という台詞もあった気がするけど、それぞれの孤独が引き合わせたものが美しい恋の形なのかな。
3幕、ヴィンセントの妹アンナの登場シーンは最初から「この子只者じゃないな…?」という空気が一気に広がった。アンナが去った後に喉カラッカラになったのも勢いに圧倒されたからかな〜とか考えたり、実際にヴィンセントが味わっていたであろう迫力を感じられたような気がする。
そしてヴィンセントとアーシュラの想いが双方向になり、2人が隠れてテーブルの下で手を繋いだりする様子は甘くて幸せで眩しかった。アーシュラが明るくなっていてなんだか勝手に救われた気持ちになった…(笑)
これは色々考えすぎた挙句たどり着いた私のひとつの解釈ですが、未亡人のアーシュラが描いた理想の暮らしの明るさとも捉えられる気がして…3幕以降徐々に苦しくなるのもこの光と闇の対比が顕著だからかな。
帰省中、アーシュラに会えないことに悲しみや怒りを覚えながら描いた絵を「あなたのために描いたんだ」と見せるヴィンセントに対して、アーシュラは「最初は良いと思った。でも怒り狂った様子が描かれていない。あなたはそれを描かなかった。」「そこには何も描かれていない。」と酷評した。
後にヴィンセントはこれを「悲嘆に暮れて」と言っていた気がするけど、これすらも彼女からの贈り物。これも2人の愛の形なのかな…
そして4幕、暗転してからずっと雷が鳴り響いていて怖かった。めちゃくちゃビビりだし雷大嫌いなので1回目に観劇した時に客席で大きく「ビクッ!」て動いてしまった気がする…ごめんなさい…正直泣きそうでした…
椅子に座って俯くアーシュラは微動だにせず、ただそこにいるだけのような。ヴィンセントが去って孤独になり、また闇へと落ちていくアーシュラを見るのは苦しかった。1幕ではあんなに明るかったキッチンは照明も雰囲気も真っ暗で、まさに光と闇の対比。
ヴィンセントが家を訪ねてきてから、彼の変わりように驚いた。絶望…とまではいかないけどなんとも形容しがたい気持ち…。風貌も変わりきったけどそれ以上にいきなり帰ってきて口を開いたと思ったらキリストがなんだとか神の御加護が…とかキリストを語り出す人になってしまって… でも期待していたものとは違う言葉をかけられて悲嘆にくれ、芸術や絵から遠ざかったことを言葉にするヴィンセントは必死だけど見ていて辛かったしアーシュラの絶望も辛くて… 観ているこちら側が叫びたくなるくらいに辛かった。
ヴィンセントとアーシュラだけではなくて、サムとユージェニーが抱える想いを汲み取るのも辛くて、とにかく辛いしか言ってないけど4幕は彼らの人生のいわゆる “闇” の部分が表れていたのかな。
とにかく重くて辛い4幕だったけど、最後には “希望” を感じられて涙が止まらなかった。テーブルの上に無造作に置かれた靴を見て取り憑かれたように絵を描き始めるヴィンセントと、彼を見て希望を見つけた表情を浮かべるアーシュラ。孤独で闇に落ちてしまった2人に希望の光が見えた瞬間。鳥肌も涙も止まらなかったし、またここから新たにヴィンセントの人生が始まるのかなと思ったらまさに一筋の光が見えた。2回目の観劇で気づいたけどサムとユージェニーの赤ちゃんの鳴き声も聞こえて、まさに “誕生” の瞬間だった。
「身近な人が平凡から脱し、崇高なところへ導き出すこと」を生きがいとしていたアーシュラにはこのヴィンセントはまさに希望の象徴で、アーシュラの生きる気力にもなったのかな。彼女はヴィンセントに希望を抱いていたにも関わらず絶望してしまい、もうこのまま終わるのかな…と思っていたこともあって、最後の光(希望)の描かれ方が本当に美しかった。
- 心情の変化を思わせるものたち
お話の流れはもちろん、随所で見える心情の変化を表すものたちが本当に素敵だった。
アーシュラが纏っていたお洋服は分かりやすいけど、1幕での真っ黒な衣装から、3幕では想いが通いあったことを示すような鮮やかなピンク色のスカート。サムが奨学金で美術の学校に通えるようになったことも含めて、どこか表情も明るく見えたりして、心の変化は小さなところにも表れるんだな〜と思った。
また、窓際に置かれた花瓶も恐らく心情に基づいて変化していた。
・1幕はお花無し
・2幕は黄色いお花(スイートピー?)
・3幕は黄色いお花とピンク色の薔薇
・4幕はヴィンセントが渡した紫色のすみれ
考えすぎかもしれないけど花言葉も踏まえるとまさにアーシュラの心情の変化に感じられた。
ヴィンセントが紫色のすみれを渡したときに「この花を売っていた子に教えてもらったんだ。このすみれは1年に2回咲く。1回目は春、2回目は秋に。」と言っていて、さすがに深馬を思い出さずにはいられなかったしなぜか観劇中も泣いてしまった…未だに深馬引きずるおたくでして…
ヴィンセントが庭にまこうとしていた種もひなげし・ルピナス・スイートピーの花言葉にも彼の気持ちが表れているのかな。
ヴィンセントが履いていた靴も、1幕ではつま先が尖っている綺麗に磨かれた革靴・4幕では履き古したものになっていたり、彼が生きていた軌跡が分かるような気がした。
あとは照明の使い方。舞台後方にある糸杉は特に暗転するときには存在感を放っていてとにかくずっと光が当たっていた印象。ゴッホの糸杉には深い関係性もあるし実際に作品にもなっていたり、彼のこれからの人生を思わせるような、そしてその時に舞台で繰り広げられている物語にも関係しているような、不思議な存在感を放っていた。
4幕ラストシーンではヴィンセントとアーシュラに当たる光が本当に印象的だったし、照明の当て方ひとつでこんなにも自分の感じ取り方も豊かになるんだな〜と感心したりもした。
- 最後に
とりとめもなく書き綴りましたが、ヴィンセントに出会えてたくさんのことを学び感じたこの期間は私にとっても宝物です。事前にゴッホの生涯や時代背景も自分なりに調べたことで劇中のちょっとしたセリフにも気づきを得られて本当に有意義な時間でした。(突然文体が変わったことは気にしないことにします)
例えば、1幕でじゃがいもを見たときになんでじゃがいも?と思ったけど、産業革命をきっかけに広まったイギリスの主食だそうで… ヴィンセントに出会わなければ調べもしなかっただろうし、時代背景も勉強になるものばかり。
感情のままに動き、周りに動かされ、純粋な心を持つヴィンセントを生きたまさかどくんは何を感じながら舞台に立っていたのかな。
舞台に立つことやお芝居が楽しいと伝えてくれる度に、アイドルとしてのあなたを好きになったことをますます誇りに思います。これからもたくさんの舞台の上で輝く姿を見させてください。
まさかどくんを好きになり、まさかどくんを通して大切にしたい人がまた1人増えて、私の人生を彩ってくれていることをまさかどくんに伝えたいな。ヴィンセントを生きてくれてありがとう。素敵な愛の物語をありがとう。
ヴィンセントが伝えてくれた言葉や気持ちをこれからも大切にしていきます。私もあなたからの愛をもらった気持ちです。ありがとう。
改めまして、『ヴィンセント・イン・ブリクストン』全公演お疲れさまでした🌻
悲しみが僕から消えることはない。
闇でもあり、光でもある。あなたが昔言ったように。
そう、夜空に輝く星のようだ。
正門良規主演舞台『ヴィンセント・イン・ブリクストン』公式サイト
「ヴィンセント・イン・ブリクストン初日!!!!!!」 | ISLAND TV
2022.11.03